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2006年2月19日 (日)

今日の新聞

帝王切開手術で出血死 執刀医を逮捕(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060218-00000413-yom-soci

明日は我が身です。

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皆さんは、この記事を見てどう思いますか?

未熟な医師が、無謀な手術をして死亡させてしまったのでしょうか?

実際のことは、わかりませんが、非常につらい出来事です。亡くなられた方のご冥福を祈ります。

癒着胎盤を無理にはがして、出血多量とのことですが、癒着胎盤を術前に診断するのは難しいです。また稀な症例のため、同様の手術を多く経験している医師は、少ないと思います。経験豊富な医師ならもしかして、死亡させることはなかったかもしれませんが、問題は経験豊富な医師が少なくなっていることにあります。この病院にも、産婦人科医は、9年目のこの医師一人だけだったようです。県立病院にたった一人だけです。

医者として9年目は、決して経験豊富とまではいえませんが、もう一人前の医者です。できれば10年以上の経験者がいるといいのでしょうが、地方では9年目の医師が1人でその地域の患者様を全て診ていかなければならないほど産科医が少なくなっているのです。

それでも日本の母体死亡率は、世界のトップレベルで少ないのです。こういった、稀な症例で、不幸にも結果が良くなかったことに対して、訴えられるのも大変ですが、ましてや逮捕されるなどということがあることは、医者をやっていて信じられません。この地域では、それが最高の医療だったと思います。皆さんは、信じられないかもしれませんが、医療の地域格差は確実にあります。全部が都心と同じようにはいかないのです。

現在、産婦人科不足は、地方から始まっています。年々医師の数は増えていますが、産婦人科医だけは、減少しています。それは、重労働、高い訴訟率などが原因です。またこの事件で、産婦人科を志す若い医師が減ることでしょう。例年300人近い研修医が産婦人科医を専門として勉強を始めますが、今年度は、150人以下になるだろうとのことです。おそらく、あと3-5年後には、特に地方では出産する場所に非常に困ることになるでしょう。

この医師に責任がなかったといっている訳ではありません。でもこの医師も、全力を尽くしたことでしょう。足が震えるくらいに。今の日本の医療体制を非常に危惧しています。特に周産期医療に対してです(妊娠-出産-新生児医療)。

明日は我が身です。

なんとか、日本の医療を良くしていきたいと思っています。皆さんの力を知恵を貸してください。

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医療」カテゴリの記事

コメント

一産婦人科近医です。今、医療系SNSでも、その話題を書き続けています。報道だけでは分からない真実が、当事者でないと分からないと思いますが、一面からの報道ばかりである可能性もあります。一方的な産婦人科批判にならないことを願います。

投稿: cherry | 2006年2月20日 (月) 00時23分

先生のブログで初めて今回の事件を知りました。
亡くなってしまった事は本当に残念です。
そして先生と同じく明日は我が身と言う言葉が
患者の立場からすれば同じくあります。
私は無事に出産でき、産後の状態も良く楽しい毎日を
送っていますが、自分がこのような状態になったかもしれないという恐怖はやはりあります。
患者としては先生を信じて身を委ねるしかありません。
先生からしたらやはり全力を尽くされる事でしょう。
でもやはり亡くなった遺族からすれば、先生に責任を転嫁を
するしか怒りのやり場がないんでしょうね。
やはり産婦人科医の減少は少子化に関係あるように思います。
地方都市でももっと高度医療を受けられるような状態に
なって欲しいなと思う日々です。
出産を機に亡くなられる話は私には他人事ではありません。
中学3年生の時にとても親しくさせていただいていた
先生が、出産の時に母子ともに亡くなってしまったんです。
お葬式にも出席しました。
今でもあの悲しみとウエディングドレス姿の先生を
忘れる事はできません。
皆さんが無事に出産できる事を願いたいです。

長くなってしまい、申し訳ありません。

投稿: 俊ママ | 2006年2月20日 (月) 13時49分

こんばんわ、あまりに悲しい内容ですよね。
私は、自分の子供を病気で亡くしました。病気になったのは誰のせいでもないのですが、どうしても病気のせいで亡くなったとは思えない気持ちが続きました。もっといい病院に連れて行っていたらとか、あの先生の治療が悪かったのではないかとか、やっぱり考えましたね。少し語弊があるかもしれませんが、病院を利用するときの目的はやっぱり病気を治すことなんですよね。

私は、結果としてその先生を訴えることも、原因を追究することもしませんでした。理由の一つはその先生が今でも一生懸命子供の命を救うために頑張っているからです。もう一つは自分自身が医療事故だったなんて思いたくなかったからです。子供も先生も頑張ったけど駄目だったんだと、今でも信じています。元気だった人が突然亡くなったりすれば、治療が悪かったのではと思う気持ちも理解できます。今回の事件は訴訟だけでなく逮捕されたりしているようなので少し違うかもしれませんが、家族がその死を納得できない時、訴訟が起こるのだと思うし、大切な家族の死を納得できる人なんていないのかなって思います。

今回先生の意見を拝見して、そうなのかって改めて思いました。正直新聞の記事だけでは、分からないこともいっぱいありました。悪い事件ばっかりがニュースになれば、医療不信が募ります。それはきっと患者側にもマイナスですよね。先生みたいに病院の裏側や見えない本音を発表してくれるのって、患者としてはとっても信頼できるんです。これからも、お忙しいとは思いますが、良い事も悪い事もいろいろブログに書いていってくださいね。

投稿: yoship | 2006年2月20日 (月) 23時14分

医療事故は、起きるべき時、状態があって起きうるものですよね。
医療事故経験の当事者の私は、いまだ病院との交渉が続いております。
記事について雲流さんは、お医者様の個人の立場としてお話して下さっておりますが、
病院のとして考えた場合どのように考え、そして行動されますか?
当先生だけを責めるものではありませんよね。

その事態になるまでに、いろんなサインがあります。
特に看護婦さんの言動、観察力、先生への連絡は、とても大きく作用します。
そして、作用していった結果、私は緊急手術になるまでの状態に、至りました。
でも、やはり先生の責任になります。
結局、最終説明で患者さんに『よろしいですか』が出来ているか、否か。
その先生は、心をこめた『申し訳ありません』
を、おっしゃいました。
今、多くの患者さんを救っておられることと思います。

医療格差、特に意識格差が大きすぎます。
それも、雲流さんの病院を訪れて分かったことです。
他を知らない人には比べようもなく、その病院しかありません。

入院中、看護婦さんに薬が終わると告げたとき、
『もっと早く言ってくれないと~!!』と言われました。
そのことを数年経った今も、病院トップの先生は、『ざっくばらんで良いという患者さんもいる。事故にあったから思うようになったのでしょう』と、言ってます。
どう思われますか?

医療事故を振り返ってみて、患者として大きく3つ気付きました。
1つは、そこに至るまでの、怪しいサインで共通しているのは、受身主義でした。
2つは、痛いながら第三者的にどこか冷静な意識があり、いろいろなことが見えます。
ただ、伝えることが困難です。
怖い表現ですが、看護婦さんは患者さんを亡くならせることができます。
3つは、病院は、良い悪いで判断するのではなく、
大きな意味で、合う、合わないがあること。
(数年前から、良い病院の本なんかでているようですが...)

家族は、私とはまた違う部分での思い、受け方があるようです。

今後も医療事故は起こるべき時、起こるでしょう。
当事者は、病院に良くなってもらいたい希望があるので、
嫌な思いしてでも、病院側へ意見を告げるでしょう。
その対応で、逆にとっても頼れる病院になるか、
また、二度と行きたくないか。。。
この病院どうなってもいいやと...
そしたら、お金で気持ちを抑えるかです。。。

このような経験をもつ私からは、
今回の記事は、やはり思いやりある行動からは全く、つながらない内容と思い、ご家族、そして地域の為にも、病院で関わった人々が心から反省してくれることを祈ります。

とって~~も長くなってしまいましたが、なにかの参考になれば....

最後に、この場をお借りして、
この件で雲流さんの病院の方々にもお世話頂き、とても感謝しております。
ありがとうございました。

投稿: 雪あさま | 2006年2月22日 (水) 00時09分

医療事故をできるだけなくすように努力しましょう。
必要なのは、コミュニケーションだと思っています。
医療を提供する側と、受ける側で、うまくコミュニケーションが取れていれば、医療事故が防げる場合もあります。
医者と患者が一緒になって行っていくのが医療だと思います。
医療事故がひとつでも少なくなり、不幸な人が少なくなることを祈ってます。

投稿: 雲流 | 2006年2月25日 (土) 17時20分

私も雲流れさんのおっしゃる通りと思います。
そのことが患者さん、そしてお医者様にとっても
感謝に変わり、生きる、又、医療を続けていく励みにつながっていきますよね。
お互いで、一緒懸命ということで。(^^)
それでも起こったら...
医療事故は、双方に本当の大切なものを改めて
気づかせてくれる出来事だと思います。
恨むか、感謝するか、それは、ただ結果だけでは
決められませんよね。
本人がどう感じるか...かな。

これからも、雲流さんの病院が、
『ありがとう』の言葉が
たくさん溢れますよう。。。
そして、全国のお医者様も。。。

投稿: 雪あさま | 2006年2月25日 (土) 18時05分

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