2008年10月27日 (月)

凍結胚移植によるIVFで児の先天性奇形リスクは上昇しない

〔スペイン・バルセロナ〕コペンハーゲン大学病院Rigshospitalet(デンマーク・コペンハーゲン)のAnja Pinborg博士は,凍結胚を解凍後,子宮に戻す凍結胚移植(FER)で生まれた新生児は,新鮮胚から生まれた小児よりも出生体重が大きかったと,欧州ヒト生殖・胎生学会(ESHRE)第24回年次集会で報告した。母親の妊娠期間は長くなっていたが,児の先天性奇形リスクは上昇しないという。

神経学的後遺症のサブ解析はこれから

 Pinborg博士らは,1995〜2006年にデンマークでFER後に生まれた児1,267例を調べた。児を,(1)冷凍保存体外受精(IVF)後に生まれた(878例)(2)冷凍保存顕微授精(ICSI)後に生まれた(310例)(3)胚の作製方法が不明(79例)―の3群に分類し,同期間に新鮮胚を使ったIVF/ICSIにより生まれた1万7,857例を対照群とした。また,先天性奇形を含む児のアウトカムデータは,デンマーク国家登録から入手した。
 不妊カップルは胚を凍結することで,1回の採卵で数周期のIVF/ICSIを試みることが可能となる。凍結胚は後日融解され,排卵の3〜5日後に,新鮮胚と全く同様の方法で子宮に移植される。この技術により,卵巣刺激と採卵回数を少なくすることができる。
 同博士らによると,FER群の多胎妊娠率は同等(ICSI 11.7%,IVF 14.2%)だったが,新鮮胚群では多胎妊娠率がかなり高かった(ICSI 24.8%,IVF 27.3%)。母親の年齢はFER群で有意に高かった。妊娠期間は,FER群の母親で有意に長く,出生体重はFER群で約200g多かった。低出生体重の比率はFER群の児で有意に低く,早産率も低かった。
 同博士は「さらに,新生児集中治療室に入院した児の数もFER群で有意に少なかった。ただし,単胎出産に限定すればこの差は認められなかった。特に重要なことは,FER群で先天性奇形リスクの上昇が認められなかったことである。FER群の先天性奇形発生率は7.1%,新鮮胚群では8.8%であった」と説明。「凍結と融解が及ぼす影響について過去に懸念が表明されてきたが,今回の研究はその不安を払拭するものである。これまで,スウェーデンから大規模な出生登録をもとにした研究が1件あっただけで,データが限られていた。なお,その研究でも今回と同じ結果が示されている。われわれの知見は,特にスカンジナビア諸国では1個の胚移植がゴールドスタンダードと考えられていることから重要である。このことは,FERの施行が徐々に増えてきていることを意味するものだ。したがって,われわれは,FERが子孫に有害な影響を残さないことを確認したいと考えた」と述べた。
 さらに,同博士は「今回の知見はわれわれを安心させてくれるものである。しかし,先天性奇形とFERの神経学的後遺症に関するサブ解析はまだ行われていない。今回のポジティブな結果が今後も維持されれば,FERは全く安全な方法として受け入れられ,現在よりももっと頻繁に行われるようになるであろう」と結んだ。

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2008年3月26日 (水)

胚移植

体外受精の中でも、重要なのが胚移植です。

受精した卵を、子宮の中に戻すことを胚移植と言います。

まず子宮頚部を過ぎたあたりまで、細いカテーテル1を入れます。

経腟超音波を見ながら、このカテーテル1の先端を、子宮体部の一番手前の位置にセットします。

受精卵を吸ったさらに細いカテーテル2を、セットしたカテーテル1の中を通し、ゆっくり子宮の中に入れていきます。

カテーテル2の先端は、超音波で確認しながら、子宮の奥深くまで進めていきます。

この際、できるだけ子宮内膜を気づ付けないよう注意します。

子宮内膜は、受精卵がくっつくベッドです。

できるだけ“ふあふあ”の状態が良いのです。

子宮の一番奥より1cmくらい手前に、置いてくるようにカテーテルから卵を出します。

カテーテルの中には、受精卵と培養液が入っています。これを注射器で押し出します。

超音波で、子宮の中に受精卵と培養液が出るのがわかれば、終了です。

あとは、うまくいくようにお祈りします。

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2008年3月25日 (火)

顕微授精

顕微授精は、通常の体外受精で受精しない場合や、精子の数が少ない場合に行われます。

卵子には、透明帯と呼ばれる殻があります。精子が少なかったり、受精の力が弱い場合、この殻を通り抜けることができないことがあるのです。

細いガラスピペットの中に精子を1つ入れ、そのピペットを卵子に刺します。

透明帯を破り、卵の細胞質の中まで、ピペットを進め、精子を卵の中に置いてきます。

現在は、技術的にも安定しており、受精率は、80-90%と高率になっています。

ただ、1個の卵子に多数の精子を入れ、自然淘汰のうえ勝ち残った精子が受精する体外受精と違い、われわれが選んだ精子を使ってしまうので、自然の受精とはちょっと違う感じがします。

そのため当院では、できるだけ通常の体外受精を行うよう心がけております。

しかし、顕微授精で妊娠した場合も、生まれてくる子に異常があったりする確率は、通常の体外受精や、自然妊娠と変わらないと言われていますので、必要があれば行っても心配いらない技術です。

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2008年2月11日 (月)

ピックアップ障害の治療3

原因不明不妊の多くは、ピックアップ障害と考えられますが、その場合腹腔鏡検査をする事があります。

従来のステップアップ治療の場合、排卵誘発、人工授精などを経てなお妊娠されない場合、原因不明不妊として、体外受精の前に、腹腔鏡検査を行いました。

近年腹腔鏡手術技術は向上し、日帰り(含1泊2日)検査が可能となり、不妊治療のひとつとして行われてきました。

本当にピックアップ障害なのか、お腹の中にカメラを入れて、卵管や卵巣、子宮を観察する手術です。

結果、3割くらいの人に異常が見られました。卵管の異常や、初期の内膜症などです。程度がひどい場合には、体外受精の適応となります。

問題ない場合は、さらにタイミング療法や、人工授精が続けられました。

術後1年くらいの妊娠率は、2-3割です。

お腹に傷をつけて、手術までして、2-3割の人しか(1年かけて)妊娠しないため、最近では否定的な報告が多くなっています。

卵管および卵管采(卵子を取り込むところ)は、デリケートな臓器のため、見た目ではその働きは判らず、ピックアップ障害の外科的治療も確立されていません。

最近では、ピックアップ障害の唯一の治療が、体外受精と考えられるようになってきています。

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2008年1月17日 (木)

ピックアップ障害の治療2

原因不明不妊の多くは、ピックアップ障害と考えられますが、どんな治療が良いのでしょう。

排卵誘発剤を多用することにより、たくさんの卵子が排卵されます。

するとその中のいくつかが、運よく卵管にピックアップされるかもしれません。

それを期待して、排卵誘発剤を使いました。「数打てば当たる」方式です。

しかしそのため、多胎妊娠や卵巣が腫れてしまう副作用が多くなってしまいました。

年齢が高い方だと、排卵誘発剤で、卵巣の働きがだんだん悪くなってしまうこともあります。

でも、現在1番問題なのは双子などの多胎妊娠です。

原因不明不妊(ピックアップ障害)の場合、排卵誘発剤を使って性交渉(含人工授精)を持っていただく治療を行ってきました。

でもただ妊娠すればいいという治療は、もう考え直すべきでしょう。

先日若い患者様に聞かれました。

「先生。ピックアップ障害と言われたけど、体外受精しかないのですか?」

「排卵誘発剤でたくさん排卵させれば、もしかしたら通常の性交渉で妊娠するかもしれませんが、お勧めしません。」

“多胎妊娠は、不妊治療の失敗である”とさえ言われている中、治療法も良く考えていかなければなりませんね。

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2008年1月16日 (水)

ピックアップ障害の治療

ピックアップ障害:排卵された卵を卵管が取り込めず、精子と出会えない状態

ピックアップ障害の場合、卵子と精子を出会わせるため、体外受精が必要とお話しました。

ピックアップ障害の場合、本当に体外受精しか治療はないのでしょうか?

以前から言われる原因不明不妊の多くが、このピックアップ障害と考えられます。

体外受精が、今ほど普及する前、我々はこの原因不明不妊に対して、色々な試みを

行ってきました。

その代表的なものの1つが、排卵誘発剤の多用であり、もう1つが腹腔鏡検査です。

どちらにも、問題がありました。

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2007年12月17日 (月)

胚移植上限2個に!

子宮に戻す体外受精卵は原則上限2個に…産科婦人科学会

12月15日21時22分配信 読売新聞


 日本産科婦人科学会(吉村泰典理事長)は15日、理事会を開き、体外受精で子宮に戻す受精卵の上限数を、従来の原則3個から2個とする会告(指針)の改正案を承認した。

 母子への危険性が大きい多胎妊娠を防ぐのが狙い。

 ただし2個戻した場合、依然として多胎妊娠の可能性が高いため、会告に「子宮に戻すのはできるだけ1個を目指す」と付け加える。今後、学会員の意見を聞いた上で、4月の学会総会で正式決定する。

 同学会は、多胎妊娠を防ぐため、子宮に戻す受精卵の数を会告で原則3個以内としてきた。

 しかし、最近の生殖医療技術の発展で、子宮に戻す数を1~2個に減らしても妊娠率は変わらず、すでに国内の不妊治療施設では2個以内が主流になっていることから、会告を改正することにした。

最終更新:12月15日21時22分

読売新聞
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不妊治療における多胎妊娠は、妊娠中、分娩ともにリスクが高く、できるだけ避けなければなりません。
当院では、開院当初より、胚移植は1個としてきました。
それでも、高い妊娠率が出ています。
できれば、双子がいいという方や、できるだけ妊娠率を上げたいので2個戻して欲しいとお願いされる方もいらっしゃいますが、妊娠した後のことも考え、単一胚移植を勧めております。
妊娠がゴールではなく、始まりだからです。

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2007年12月 2日 (日)

体外受精したのに受精しない!

体外受精したのに受精しないことがあります。

卵の原因なのでしょうか?それとも精子?

どちらの場合も考えられます。

卵子には、周りに細胞を守るための殻があります。

これを透明帯と言います。

この透明帯が固かったり、厚かったりすると、精子が中に入れず、受精しない原因となる事があります。

固かったり厚かったりの原因は判りませんが、排卵誘発が問題だったり、年齢が問題だったり、たまたまなのかもしれません。

精子の原因も考えられます。

精子数が少ない方や、運動率が悪い方の場合、やはり受精率も悪くなります。

精子の頭の部分にある酵素で、卵の殻を溶かして中に入るのですが、この酵素が弱かったり、尻尾を振って前進する力が弱かったりが、殻の中に入れない原因です。

また、殻の中に入った精子が、卵とくっついても、精子からの卵を分割させる信号が弱い場合には、やはり受精しないことになります。

いろいろな原因が考えられていますが、それを証明するのは難しく、結局体外受精で受精しない場合には、顕微授精により受精させる方法をとることとなります。

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2007年11月20日 (火)

体外受精

通常の体外受精では、採れた卵を、専用の容器の中に入れ、そこに精子を振りかけます。

精子は、培養液で洗浄したのち、スイムアップ法などにより、元気な精子だけを抽出します。

元気な精子を抽出する方法はいくつかあります。

代表的なこのスイムアップ法は、洗浄した精子を培養液の入った試験管の底に沈め、しばらく置いておくと、元気のよい、運動精子が試験管の上のほうに泳いで上がってきます。

これがスイムアップ法です。

この上澄み液を回収して、そこに含まれる元気のよい精子を体外受精に使用します。

卵子の入った容器の中に入れる精子は、卵一個あたり大体10-20万位の数の精子を入れます。

このうちより強い、元気な精子が卵と受精するのです。

受精翌日には、前核期といって、卵の核と精子の核が見える状態になります。さらに翌日(受精後2日目)になると、卵は分割し2-8細胞期胚になります。

一般的には、この状態の卵を胚移植します。

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2007年10月31日 (水)

学会報告(生殖医学会)

先日秋田で行われた、生殖医学会に参加してきました。

秋田は、思ったより寒くなく、のんびりしたところでした。

秋田美人といわれるように、その気候のよさ、湿度加減が、お肌に非常によろしいようです。

さて、学会報告ですが、最近はこれといって新しい情報は少なかったです。

生殖医療(不妊治療)も、大分洗練されてきて、細かい話が多くなってきています。

胚盤胞移植では、D6よりもD5での移植のほうが、成績が良いというのが、各施設から報告が多かったです。

これは、当クリニックでも同様で、D6で移植するよりは、凍結しておいて、次の周期のD5(排卵してから5日目)に移植する方が成績が良いようです。

D6以降になると、子宮が着床しづらくなるようです。

あと、体外受精の反復不成功例に対しての、抗リン脂質抗体症候群の検査や治療(へパリンやアスピリン)は、現在のところ有効性がないので、するべきではないとの見解が示されました。

抗リン脂質抗体症候群は、流産を繰り返す場合のみに検査治療を行うのが望ましいようです。

そんなところでしょうか、また思い出したら報告します。

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